不思議な呪文(祖父川)|武儀の語り草 -昭和・平成編-
一日の仕事が終わって家路へ急いでいた。急にトラックの不調に気付いた。車を降りてラジエーターの蓋を取ると、熱湯の蒸気がふきあげ顔にかぶった。
激痛に大急ぎで近くの病院へ走り、治療を受け、帰途に着いたが痛みは止まらない。自宅に近づいた頃、一人の老人に出会った。
「おまえ、何やっとるんや。ふらふらと」
わけを話すと
「そりゃまたえらいことやったな、ちょっと家へ寄れや」
言われるままに老人の家へ入った。老人は井戸へ走った。
「井戸水を汲んで来たぞ」
老人はその水を、神棚にすえ、何度も口の中でぶつぶつ言いながら祈りを続けた。
そして、その水を榊の葉につけて顔中に振りまいてくれた。ヒヤッヒヤッと気持ちがええ。しばらくするとスウーとして来た。痛みはあるが、医者へ走った時の激痛はうすらいだ。
「昔から時どき、家の前を通る旅人がおってなぁ・・。ある晩のこと、もう寝ようとした時、何か物音がした。はて? と思い外を見ると、その旅人が表に倒れてござったんじゃ。
一晩泊めてやったのが縁となって、その後も何度も宿をしてやったお方じゃ。色々話しておるうちに今の呪文を教えてくだれた。今までいっぺんも唱えたことがなかったが、始めてお前さんに試してみた。そんなに効き目があるとはなぁ・・・」
そう言って老人が驚いてござった。
数日過ぎると、少し皮は剥けたが火傷の傷あとは何も残らなんだ。本当に不思議な力であった。
この話が、次々と伝わると、火傷をすると必ず老人の家へ走って大勢の人が助けられたと聞いておる。
老人が亡くなり、その秘法を家族の人に委ねたと聞いているが、その呪文は、誰にでも通用しないのか話は途絶えている。
この話は、今から五十年ほど前、わたしが青年の頃の話である。
現在、念力の力を利用して、医療に役立てて職業にしている人を見る。そうした現実を考え合わせる時、この『呪文の功能』も新しい発見であるように思われる。
いつの日か、その家のどなたかに『呪文の功能』に力量の授かる方が現れる日のある事を祈っている。
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