じいちゃんの頃の田植え(多々羅)|武儀の語り草 -昭和・平成編-
「おじいちゃん、ヒモを巻いた二本の長い棒が小屋にあるが、あれ何するやつ?」
「ありゃ田植えの時、引っぱって苗植えに便利な『張りづな』や」
「今日、学校で田植えをしたけど、苗を三十センチ位あけて植えるのむつかしかったよ
「この張りづな、持ってきゃ楽やったに、惜しかったなぁ」
「昔は、大きな田んぼを家族だけでやるのは大変やで、近所の人と手間変えをして植えたで早かったんや」
「田んぼ耕すのも、牛にやらしたんや。牛の鼻カンに棒がつけてあって、それで牛を引っぱって動かしたもんや」
「農繁期になると、学校も一週間くらい休みになる。嫌でも手伝いするのが当然のことやったんや」
「ふうーん、子どももよう働いたのやなぁ」「忙しい時は、家へ帰る時間も惜しんで、田んぼでメシを喰うんや。十時にこびる、十二時に昼、三時におこびると三度も喰った。田んぼで景色眺めながら、重箱(じゅうばこ)につめたおにぎりを喰うのも、そりゃうまかったわ」
「まるでピクニックやね」
「そんな呑気なものでは、なかったなぁ」
「さあ、これから苗配り頼むぞ、お前はうまいもんやで、とわしはみんなにおだてられ、ほいきたとばかり、手に持てるだけの苗を持って、ビュンビュンと方々へ投げたもんや」
お昼ごはんを食べながら、おじいちゃんはこんな話もしてくれた。
「一番嫌やったことがある。それは、その頃は農薬なんかなかって、ヒルがうようよ泳いでおった。気がつくと、足に数匹も吸いついとる。背中がふるえてぞみっとしたもんや」
「ヒルは、何度落としても、すぐ寄って来て吸いつく。足がポンポンに赤くはれて、夜、メンソレータムをつけたけどなかなか治らなんだわ」
「仕事が終わって、腰をたたくおっ父や、おっ母を見ると、仕事がえらいなどとは言えなんだぞ」
「それでも、田植えが終わると、農休みがある『ほうば餅』や『ちらしずし』やいつもと違うごっつおうがあって、うまかったなぁ。それが何より嬉しかった。こうして、やっと田植えが終わったんや」
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