富之保の岩山崎の川の中に、亀が沢山集まる岩がある。村の衆は「亀岩」と呼んでいるが、「亀石」と言う人もある。

昔からこの辺りは、水がきれいで流れも緩く、その上浅瀬がずっと続いた美しい川じゃった。その水辺からちょっとでも亀が顔を出そうものなら、すぐ子どもたちに捕まえられて玩具にされてしまう。

ある日のこと、川中の亀が集まって相談をした。

「俺んたが、せっかく楽しく遊んでいるのに人間の子どもんたに見つかると、ひどいめにあわされるので、ちっともあんきに遊ぶことができん」

「ほんとにかなわんこっちゃ」

「人間の子どもたちから、俺んたの身を守るよい策はないかなあ」

亀たちは、額を寄せ合い話し合った。その結果、見張り番を置くことになった。

さて、亀の中に、とても勇敢でいつも仲間のために尽くしていた一匹の大亀がいた。

「よし!俺がその見張り番をしよう」

その日から、なにも食べず見張り番をして仲間のために頑張ったそうじゃ。

こうして、三月と四日の月日が流れ、責任感の強い大亀はとうとう睨んだその目つきのままで、石になってしまったと言うことや。村人はいつしかこの石のことを「亀岩」と呼んだ。

それから亀を哀れに思った村の子どもたちは、いたずらをする事もなくなったと言うことじゃ。