わたしの小学校の頃、正栄寺は、麦藁を敷きつめた茅葺きで、何とも見すぼらしい屋根のお寺でありました。

先代の和尚さまは、朝早く起きると、古い 「ギヤエム」 と言う宮田の自転車に乗って、方々へ出かけて行かれました。子ども心に、和尚の仕事とは、こうする事なのかと思ったものでした。

それは、ご浄財(宗教や社会事業のために寄附すること)を集めておられたのです。

和尚さまは、訪れた家では、その家にまつわる心を癒すお話をされたかに聞きおよんでおります。

一つの事例をあげてみましょう。

まだ、白々明けだというのに、寺の門の板戸を、ひどく叩く音に驚き門を開けると、なんとなく白い影が見えました。しばらくすると、勝さまの訃報が入りました。

それに家の方では、朝、四時頃風もないのに、掛け軸が大揺れをして驚いたそうです。掛け軸の絵柄には竜が書かれていました。

和尚さまは、

「そう言えば勝さまは巳年だった、竜に乗って昇天されたと思うわな」

そうつぶやかれた。

このようなお話に、和尚さまに対する信頼と尊敬の念がますます湧いたものです。

もう一つの事例を上げてみましょう。

「早朝、読経のため、拝殿へ入ろうとすると『どうぞよろしく』と老婆が座しておりました。一歩入ると、姿がすうーと消えてなぁ。訃報を知らせに来た人に『もう、本人が挨拶に来られたわな。』と言うと、キョトンとしておられたんや」

そんな話もあります。

また、早朝読経を終えて、ふと正面の鴨居に眼をやると犬の姿が映り、しばらくすると、戌年の方の訃報が入りました。

このように、常に仏の心に接する者として、不思議な霊感を解かれる、和尚さまの心を知りました。

ある時には、遠く北海道まで出向き多額の寄付を頂いたこともあり、皆さまのおかげで改築がなされ、今では、素晴らしいお寺に生まれ変わりました。

先代和尚の 「やる気」 が 「気合い」 を生んだとでも言うものか、ご縁のある皆々さまの思いやりの心の結晶です。

正栄寺

 

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住所 岐阜県関市富之保2001番地1 武儀生涯学習センター内
電話番号 0575-49-2855
担当者 事務局長 可児(かに)
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