白蛇さま(粟野)|武儀の語り草 -昭和・平成編-
粟野御館野坂を登りはじめたあたり、その山すそに白蛇さまがお祀りしてある。現在では訪れる人も少なくなり、ひっそりと祀られている。
昭和四十年代には、地域の方たちがお参りして、そこでおしゃべり会もあったと聞く。旗が石塔を囲んでたてられ大切にされていたところである。
ある日、いつもは兄弟と元気に遊んでいた幼子が、今日はどうも元気がない。
「坊、どうした。どこか痛いか?」
と聞くと、ほっぺのあたりを指(さ)した。よく見ると、ほっぺではないようである。
「耳が痛いか? ここか?」
と、さすってやる。どうも耳が痛いようだ。
そんな母と子の様子を見聞きしていたばあ様が、仕事の手を休め、
「どれどれどうした。ここが痛いか?」
と、言いながら孫の様子を見てくださる。
「こりゃ中耳炎かも知れん。いっぺん医者に診てもらうといいな」
さっそく医者に診ていただくとやはり中耳炎だった。何度も医者に通ったがなかなか思わしく治っていかない。
小さい子なので、負んぶをしながら仕事をするのだが、どうしてもぐずりやまずあやしあやしお勝手をしていると、ばあ様が、
「白蛇さまに参ってくるといいと聞くがな。白蛇さまは生卵が好物だから生卵をそなえて参るといいぞ」と言われた。
生卵と菓子を持って御館野の白蛇さまにお参りに行って供えた。
「この子の耳の痛みが早く治りますように」
心をこめて祈った。
それから一週間ほど毎日子どもをおんぶして生卵や菓子などお供え物を持って出かけお参りした。子どもはだんだん元気が出てきてまた、いつものように兄弟仲よく遊ぶようになったという。
その後、医者に行くと
「おー、ずいぶんよくなっている。思ったより早く治るよ」
医者も治りのよさに驚いていた。
白蛇さまにお供えする生卵は効果があるんだと思われる出来事であった。
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| 担当者 | 事務局長 可児(かに) |
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