「どえらい音がしたぁ!」

「なんだ!なんだ!」

昭和二十年三月十三日学校で昼食を食べていた時の出来事だった。

先生も生徒も皆外へ出て見ると、空から黒く長い物がきりもみ状態で落ちていくのが見えた。

「日本の戦闘機がやられたらしいぞ!」

隣の春さが叫びながら竹槍を持って飛んで行った。

戦闘機は一キロメートルくらい離れた民家とお墓の間の山際に落ちた。

誰もが乗っていた操縦士はどうなったのだろうと思った。間もなく情報が伝わり、温井と久須の境の道路で操縦士が横たわっていることがわかった。

畑仕事をしながら、この様子を見ていた金造さは、飛行機から人が落ちて来たのはてっきり敵兵だと思いこみ、家まで走った。竹槍を持って来ると、苦しそうにもだえている操縦士の胸を突き刺そうとした。しかし、よく見ると日本兵だった。あわてて、近くの医院へ駆け込み、医者どのを現場へ連れて行った。

医者どのは、診断し死亡と告げた。亡くなったのは、身分証から北村少尉と判明した。

飛行機の部品は、あちこちに散らばって落ちたが、不思議なことにお墓の近くや神社の近くの山などに落ちていたということだ。

北村少尉が戦死した翌日、岐阜の部隊から迎えが来た。皆道路まで出て見送った。

遺体はトラックの中央に置かれ、十人位の軍人が銃に剣をさし「捧げつつ」をして人々の前を帰還された。

北村少尉の落下地点には、「故・北村少尉戦死之跡」の墓標が建てられ、今でも、しきびや季節の花が絶えることがない。

平成26年12月撮影

 

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