大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にて小池栄子さんが演じる北条政子が寄進した多宝塔が武儀には存在します。
それがこちら岐阜県最古の寺「日龍峯寺」にある「多宝塔」です。
日龍峯寺の多宝塔は、北条政子が寄進した将軍家建立になる唯一の建造物です。
明治27年国特別保護建造物指定、昭和25年重要文化財指定となり、鎌倉時代を代表する全国屈指の建造物です。
そしてこの地域にはこんな昔ばなしも存在します。
北条政子と多宝塔
今から八百年ほど昔、鎌倉時代に北条政子という人がおりました。
将軍、源頼朝の御台所(妻)でたいそう偉い人でした。
その頃の日本の国は、戦乱が続く毎日で、人が多く死んだり、家を失ったり人々は苦しい日々を送っていました。
北条政子も、夫である頼朝や子どもを亡くし大変悲しい思いをしており、毎日、仏様にお祈りをして亡くなった人々の霊を慰めていました。
その頃、国中は大干ばつで、作物は実らず農民は、苦しい思いをしていました。政子は、そんなありさまをとても心配していました。
ところで、美濃の高沢山に大日山日龍峰寺という大変立派な古寺がありました。
ある夜、政子は不思議な夢を見た。
「美濃の日龍峰寺の池に法華経を書写し、供養して納めよ。そうすればたちまちに雨が降るであろう」
龍神が池に飛込む夢でした。早速、政子は道運という人に命じ祈念させた。
すると、ほどなく恵みの雨となりました。
「これで作物も実ります。ありがたいことです。さっそくお礼をいたしましょう」
喜んだ政子は、古く荒れ果てた七堂伽藍を修復し、新たに多宝塔を建立するよう命じました。
月日が過ぎ、三百年ほど経ったある日、
「火事だ、お寺が燃えとるぞ」
誰かの叫ぶ声に、村人たちが高沢山の方を見ると、真っ赤な火の手があがり、お寺が燃えています。
村人たちは、手に鉈や鎌を持って駆けつけましたが、火の手は激しく見る見るうちに寺の多くの建物を燃え尽くしてしまいました。
村人たちは、がっくりし肩をおとし皆、座り込んでしまいました。
ところが、煙のくすぶる中、多宝塔だけが立っているではありませんか。
「おい見よ!塔は焼けとらんぞ!」
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
誰からともなく、お念仏を唱え、大唱和となりました。
その後、お寺は建て替えられ今に至っています。
八百年の昔に建てられた多宝塔は、昭和になって国の重要文化財に指定され多くの人々が参詣に訪れています。
多宝塔までのアクセス
高澤観音の多宝塔は、岐阜県関市の中心街から車で30分ほどで到着します。
途中道が狭くなっておりますので、対向車とすれ違う際はご注意ください。
多宝塔までぜひお越しください!
多宝塔のある日龍峯寺(高澤観音)は、初めて訪れた多くのお客様が「こんな山奥にこんな立派なお寺があるなんて!」と驚く場所です。
まだ北条政子の多宝塔や日龍峯寺を見たことがないという方は、是非お越しになってください。